ENIGMA YAMAHA NMAX

YAMAHAの新しいブルーコアエンジンを搭載したNMAX125専用に開発されたENIGMAシリーズです。
NMAX125専用ENIGMAには今までの機能に加えて新しくVACS機構が加わりました。

YAMAHA NMAX125には高出力の為の新しい機構としてVVA（バリアブルバルブアクチュエーター）が装備されました。これは、4輪の高性能エンジンにあるような可変バルブ機構でいわゆる低速型のカムシャフトと高回転高出力のハイカムを途中で切り替えることにより、ローカムでの低速特性とハイカムの高回転特性を両立させ、低速から高速まで幅広いパワーバンドとトルク／出力特性を両立させようとしたものです。
当社ではこの機構に着目し、ECUからの切り替え信号を解析し、ローカムとハイカムを任意での切り替えが出来る機構「VACS」バリアブル・バルブ・アクチュエーターコントロール・システムを開発しました。
切り替えポイントを任意でコントロールし、より自分好みのパワー特性にセッティングできる新しい機能です。

上記のグラフはいわゆるローカムのみでのパワーグラフになります（ローカム固定）
一般的な4ストローク125ccスクーターでは良くある特性で特にどこが悪い訳でもなくスタート時に要求される低回転時でのトルク特性も問題なく、トルクピークは7000〜7500rpm位でその先は回転上昇に伴いトルクの減少が始まり出力が徐々に低下して行きます。あくまでも当社データ比較になりますが同じYAMAHA125ccエンジンのシグナスX（4型）の出力特性に似ています。しかしNMAXはレブリミットは約9800回転とシグナスより高めです。9000回転辺りから点火時期がわずかに遅角して出力を少し低下させ、9800回転になると燃料がカットされる言わばソフトランディング型レブリミッターが作動します。
このリミッターをENIGMAで解除して点火時期を修正すれば、回転は更に上がります。

次のグラフがハイカム側でのグラフです。
NMAX125はこの2つのカムシャフトが約6000回転時に自動で切り替わります。ハイカム側は低速域はハイカムの特性上非常にトルクも少なくパワーも出ませんが切り替えポイントである6000回転付近まで回転が上がればぐんぐん出力が上昇してリミッターに当たるまでパワーの減少はきわめて少なく高回転高出力型が見て取れます。勿論、ローカム側よりも最高出力は高く最大２馬力（後輪出力／当社計測値）近い差がでる回転域もあります。
ハイカムもリミッターカットして点火時期を修正すれば、回転は簡単に上昇します。
特筆すべきはその高回転特性で12000回転時でも高い出力を維持しており、同じクラスのシグナスXなどと比べてもその差は歴然としています。

NMAX125のリミッターは9800回転付近での燃料系レブリミッターと少しの点火遅角化その後点火時期は一旦元に戻りますが12000回転を超えてからは、点火時期プログラムが遅めに設定されており、出力は落ちて行きます。
燃料が当たり前に供給されてる場合、この瞬間に流石に濃くなりすぎてこちらもリミッター的な効果で出力低下に導きます。
この高回転域のオーバー点火特性もENIGMAファイヤープラスで変更可能ですが高回転域の燃料調整や点火時期調整は一歩間違うとその分トラブルの元にもなりえます。これらを正しく修正した場合、12000回転をオーバーして回転は上昇します。

この二つのカムの出力グラフは当初6000回転でパワー特性が逆転するものと考えておりましたが、実際に複数回計測して点火時期や燃料調整を繰り返した結果二つのカムの特性はもう少し上がる事が解りました。
そうなると6000回転切り替えが一番良い特性なるとは限りません。切り替えポイントをそのままにしていると一番のパワー特性にする足かせになってしまいます。
当社VACS（バリアブルバルブアクチュエーターコントロールシステム）は、カムの切り替えポイントを任意に変更する事ができます。

上記グラフはある程度セッティングしたローカムとハイカムデータを重ねたものです。
6000回転を超えてもローカム側の出力はまだ先細りになっておらずハイカム側よりも高いトルク／出力特性を維持しています。この場合切り替えポイントをもう少し高回転にずらす事により、ノーマル時よりパワーカーブは向上する事になります。例えばノーマルのエンジン特性でもローカム側は6000回転以上でも高トルクを維持します。今より少し高回転側に変更した方がローカム側の低速域からのトルク特性を最大限生かす事になるので、アイドリング〜9000回転までの出力カーブはトータルで見れば良くなります。
勿論、設定はスマホ（アンドロイド＆iOS）又はPCから無線接続にて行えます。
NMAX125専用ENIGMAは、更なるチューニングライフを力強くサポートします。

FirePlusの優れた点火補正機能(燃料リミッターカット機能＋点火時期リミッターカット機能)

Enigma FirePlusはNMAX125のノーマルリミッター(9800回転付近)での燃料カットを解除し、さらにこの回転域で点火時期が大きく遅角する点火時期リミッターを同時に解除します。NMAXは約8500回転から11000回転まで、段階的に最大約10度も点火時期を遅角させ出力を抑えています(上記グラフ赤線　燃料リミッターカット有り／点火補正無し)。
Enigma FirePlusはリミッターを解除するだけでこの点火時期を自動で補正します。この機能により点火補正を行わない場合に比べ、ノーマル車両でも10000回転時に後輪出力で約1馬力も差が出ます(上記グラフ青線　燃料リミッターカット有り／点火リミッターカット・自動補正有り)。